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トリップ
不思議です。
いま、”映画の中”にいます。
遠いむかしに見た、少し切ない気持ちになる映画?
一瞬かすめましたが、そうではないようです。
過去なのか未来なのか、一人、屈強な意志で荒廃した世界をすくう、、
これも違います。
深緑のすき間から降りそそぐ木漏れ日。みずみずしい空気と鳥の鳴き声。
なんの映画なのかはわかりません。感じるのは、”ほのぼの”です。
もしかすると、
いや、もしかです。
こうなりたいと”自分が思い描く未来”、その中です。
トリップしたワケ
にょきっと伸びた金属のハンドルとやさしい木目。
ゴツゴツした膨らみ、そこになまめかしい艶と加わり織りなす造形。
注文して届いたばかりの、木箱。
少し前から、目の焦点はしっかりと木箱に合っています。
たしかに木箱を見ようと、自分の意志で視線を向けました。
でもそのすぐ後、むしろ木箱に目を奪われています。
手挽きコーヒーミル。”眺める”のメカニズム。
水晶体の表面、木箱が放つきらびやかなうるおいが、澄んだ水とおだやかに合わさり、さらにその奥ではふわふわと。
しゃれた艶の漂いを感じます。
内眼筋が収縮し、大きく膨らみをおびた水晶体。
”近くを見る。そのとき目の筋肉が収縮し、レンズの役割を担う水晶体は膨らむ”
ネットのどこかでそんな風に書いてありました。
でも、逆に感じます。まず、水晶体が膨らんだ。
そのあと、それにつられて筋肉が収縮した。
元いた場所へ
”ほのぼの”とした世界にボーっとひたっていると、木箱の後ろにゆったりと元いた場所がかすんで現れだしました。
「いや、まだ早くない、、」
現実へと引き戻す力は、少しづつ強くなっていきます。
しばらく抵抗した後、その方がよい?と感じ、ボヤけて見える背景にピントを切替えてみました。
突如、ついさっきまで聞こえなかったブーンという空気を切る音。
遠くからはミィ~ンとセミの鳴き声が聞こえます。
腕には湿り、木箱を開封するとき額の汗をぬぐったのを思い出しました。
気づくと木箱がかすみ、その奥で黄味のつよい土色がスルスルッと濃くなってきました。
”あっ、”
常日頃、向かう作業机。
その天板がくっきりと現れました。
天板上に転がるシャーペン、文章教書も、付箋がいくつも挟まったところまでくっきりと見えます。
思い切って、、顔を横に向けてみる?
深く、大きく。空気を吸い込みます。
ボヤけてしまった木箱を視界から外し、顔を横に向けてみました。
脱ぎ捨てられた衣類、フワフワと風を作る扇風機、、
”ハハ、ここ知ってる”
いつもの散らかった自分の部屋です。
<2022/02/27 >
加筆修正時、BGM
加筆修正、下書き、推敲、、音楽をなにも流さないときもありますが、”流して”のときもあります。
読書するときもしかり。リンク先の曲を聴きながら記事を読む♪ぜひ異なった趣も、楽しんでみてください。
「Relaxing Hang Drum music | Good vibes | 432 Hz | ♬043」