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汚れた魔法瓶
両手には、ひんやりと固いクリーム色の塊があります。
正確には塊の上部にある焦げ茶色の取っ手を左手でつかみ、底に右手をそえています。
鼻を通り抜ける湿気と鰹だしの甘辛いつゆの匂いを、しばし確かめていました。
取っ手から側面へ移動した左手の指に塊の表面がかるくひっ掛かり、春先に庭木の伐採で手につく樹液のネバリ気がさっと頭をよぎります。
買いたての徳用いりこパックほどの重みを感じながら、クリーム色のなめらかな曲線、平面、こげ茶色のくぼみ、でっぱりへと視線を腹ばいで這うようにゆっくり動かしてみました。
クリーム色のところどころには、点々と乾いて薄茶色になったなにかの跡。
快晴の夕暮れ、青い空にホワーっと現れてすぐ消える、白い小さな雲を見かけるときがあります。
こげ茶色のくぼみやふくらんだところにも、白く小さな雲が数個。消えないまま、ふわふわと浮かんでいます。
手入れの流れ
手入れは、5つの工程になります。
1、道具の準備
2、その他の準備
3、気持ちの整理
4、手入れ
5、乾燥
1、道具の準備
まずはじめに、手入れに使う道具を準備します。
<使う道具>
・食器用スポンジ(柔らかい部分があるもの)
・石けん (今回は白雪の詩を使いました)
・水
・割り箸
・爪楊枝
・キッチンペーパー1枚
・取扱説明書
・筆記用具、スマホ※1
・心 ※2
2、その他の準備
道具の準備ができたら、次に「わかめたっぷり蕎麦」を作ります。
※腹ごしらえ。必要がない場合は4に進みます。
3、気持ちの整理
調理が終わったら、腹ごしらえしてから、、といった気持ちを”後の楽しみ”に切り替え、ささっと手入れに取り掛かります。
4、手入れ
<段取り>
・魔法瓶を洗うスペースの確保。
キッチンの流し台の片付け(前日の洗い物が放置のため)。
・手入れ道具を脇のスペースに並べる。
<手入れ>
① まずクリーム色の本体から、こげ茶色のキャップを外します。
② 次に取扱説明書を見ながら、キャップを構成する8つのパーツにゆっくり分解します。
③ 本体を含め、9つのパーツを洗っていきます。
洗う順番はどれからでもよいのですが、今回はまず本体から取り掛かります。つぎにバネ、中せんパッキン、シールパッキン、ベンパッキンとつづけます。
最後にキャップ、シャフトカバー、シャフト、中せん本体の順に洗って水を使う工程の終了です。
5、乾燥
洗い終わったら、本体は食器乾燥棚で乾かします。
各パーツは、風や物が当たってなくならない場所で、キッチンペーパーに並べて乾かします。
※ベンパッキンは小さいので、無くさないよう注意が必要です。
<補足> ・全てのパーツを食器用スポンジの柔らかい部分で、石けんと水を使って洗います。 ※取扱説明書では「ぬるま湯で薄めた食器用中性洗剤を使用してください」となっています。 ・冬場など水が痛いほどに冷たい時期は、ぬるま湯で洗ったほうが汚れの落ちがよいと思います。 ・本体の内側には手が大きい人は入らないので、割り箸などを使いスポンジを押しあて洗います。 ・各パーツの入り組んだところはスポンジが届かないので、爪楊枝でやさしくこすって汚れを落とします。 <スポンジの柔らかい部分で落ちないところについて> 汚れの落ちにくいところは、スポンジの硬い部分や爪楊枝でこすります。 この際、力加減がどのくらい加わっているのか感じ取りずらく、傷をつけてしまわないよう慎重に行います。加減を感じ取りやすいので、爪を使う場面もあります。 面倒くさがらずお湯を用意し、スポンジの柔らかい部分でこすってみるのもよいかもしれません。 |
購入から3年半、その所以
前回使っていた電気ポットが経年劣化でこわれたので、この魔法瓶を購入しました。
Amazonの購入履歴を確認したら、3年6ヶ月前でした。
購入以来はじめての、大掛かりな手入れです。
もちろん簡単な手入れは、“たまに”ですがしていました。
本体の外側を、石けん、または水洗い。内側は水だけを入れて、じゃぶじゃぶ揺らしてといった具合です。※使用時にお湯しか入れることがなかったためです。
たまに、、
レビューを書くために川原へと持ち出し、たぶんそのあと使っていないのですが、今回の手入れまでざっと3ヶ月たっています。
1度くらいサッと洗ったかもしれないですが、覚えはありません。
炊飯ジャーのとなりで放置、、3ヶ月。
魔法瓶についていた茶色の汚れは、調理で飛んだものだと思います。梅雨どきで薄っすらとはいえ、白い小さな雲、、カビが発生していました。
これが、“たま”の手入れの有り様です。
どうして突然
今回、ある理由があって大掛かりな手入れを行いました。
もしこの理由がなかったら、“サッ”も“大掛かり”も、ほぼほぼ、まだしばらくは行っていないと思います。
汚れに気付いたわけでもないのに、どうして突然大掛かりな手入れを行ったのか?
その答えは、ひとつです。
「大掛かりな手入れ」が、おカネを稼ぐために”文章の題材としてイケる”と思ったからです。
そう思った理由は、2つあります。
1つは、手入れのあれこれが参考になるかも?という単純なもの
もう1つは、書いてよいのか迷うものです。
すんなり書いてしまうと、読む人に“書き手がよい人といった印象を与える”と思ったからです。
「魔法瓶を使って収益につなげる文章を書くのであれば、手入れを行い3年6ヶ月分の汚れをきちんと落としてから、、」
そんな風に考える書き手の姿勢は、収益に近づくために利用できる。。
甘辛いつゆの匂い
手入れの記事を書いてみよう、、その結果、大掛かりな手入れができ、下心があったとしても魔法瓶が綺麗になったのはよかったと思います。
魔法瓶が給してくれたほっとしたひとときに対する感謝や、今後の執筆への思いを少し大きく持てたことも。
大掛かりな手入れを終えた余韻にしばしひたっています。
たまにしか手入れをしない、、
文章の題材になる、、
”おカネが稼げる”そう感じなかったとしたら、3年6ヶ月、その先も大掛かりな手入れにいたっては、、
みりん、砂糖、しょう油。鰹だしで割った蕎麦つゆの匂いが身体のまわりを漂っています。
あれ?
甘辛い匂いの中に、違和感を感じます。なにかまじってる、、
頭のてっぺんにむかって大きくゆっくりと呼吸をくり返していると、しだいにその存在を確認できるほどになりました。
ちょっとおおらかすぎ。。
匂いにまじりおぼろげに現れたのは、粗雑ともとれる自分のおおらかな感覚やそこにひそむ由々しい問題です。
<備考> ※1 筆記用具、スマホ<使う道具> 筆記用具とスマホは、記事を書くために準備したものです。手入れだけなら必要ありません。 ※2 心<使う道具> ”さて、やるか!”と取りかかる心。 持ち合わせていないので、蕎麦を作りました。 単純に空腹だったこともありますが、手入れ、文章作りと気乗りしないため気晴らし、ごまかしといった感じです。 結果的に、関係のない蕎麦を作ることで心がほぐれ、”さて、やるか”となりました。 無心で調理しているとアイデアが浮かんできて、この記事の何割かはそのときのものです。 |